平成20年09月24日さいたま地方裁判所第6民事部
判示事項の要旨
被告は相続欠格者であって,原告が唯一の相続人として被相続人の共有持分を相続したと主張する原告の共有持分確認請求訴訟において,被告は,日付の記載のない遺言書に,被相続人の意思に基づかずに日付を記載し,未だ有効に作成されたものとはいえない遺言書を外形を整えて完成させたのであり,民法891条5号にいう変造をした者に当たるとして,原告の請求を認容した事例
解説
亡くなったAが所有していた土地建物の共有持分権2分の1について、Aの相続人として長男Bと長女Cがおり、Aと同居していた長女CはA作成の「すべて長女Cにまかせる。長男Bには、いっさいあげない。」という自筆証書遺言を保管していました。
裁判所は遺言書の日付がAの筆跡と異なり、長女Cによって書かれたものであると認め、その行為は民法891条5号にいう遺言書の変造にあたり、遺言書を変造した長女Cは相続欠格者となり、Aの遺産は長男Bのみが相続するとしました。
-参考条文-
民法第891条 (相続人の欠格事由)
次に掲げる者は、相続人となることができない。
- 一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
- 二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
- 三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
- 四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
- 五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
その他遺言・相続に関する問題は「相続・遺言・遺産分割に関する法律問題」をご覧ください。