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研究レポート

1 個人再生手続とは

著者:弁護士法人リバーシティ法律事務所

2005/3/30

1. 個人再生手続とは?

(1) 「個人再生手続」とは?
 「個人再生手続」とは、個人債務者のみを対象として簡易迅速に経済的再生を図ることを目的とした手段です。
 テレビ・新聞などで「○○株式会社が民事再生法の適用を受けました」という報道をお聞きになったことがあるかもしれません。
 この民事再生法の個人版として作られた手続で、
  a 小規模個人再生(民事再生法221条~)
  b 給与所得者等再生(同法239条~)
の2つの手続があります。
 また、住宅ローン以外の債権の負債の整理をしながら住宅ローンの返済を継続し、住宅の確保を図ることが可能となる
  c 住宅資金特別条項(同法196条~)
という制度があります。
 通常の民事再生の特則として小規模個人再生
 小規模個人再生の特則として給与所得等再生があり、
 住宅資金特別条項は、通常の民事再生、小規模個人再生、給与所得者等再生いずれの手続に利用することができます。

(2)小規模個人再生と給与所得者等再生の違い
 小規模個人再生手続と給与所得者等再生の主な違いは、以下のとおりです。

小規模個人再生 給与所得者等再生
収入に関する条件 将来において継続的に、又は反復して収入を得る見込みがある者 給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがあり、変動の幅が小さい者
再生計画案に対する債権者の同意 回答議決権者の1/2以上または議決権総額の1/2超の不同意がないこと(消極的同意) 不要
可処分所得基準の有無 なし あり
破産免責等後の再申立ての制限 なし あり(7年間)
再生計画認可決定確定後の破産免責不許可期間 なし あり(7年間)


 大きな違いは、最低弁済額の算出基準として、
 a 政令で定められた可処分所得基準を考慮しなければならないのか
 b 再生計画案に対する債権者の同意が必要となるのか否かになります。
 どちらの手続を選択すべきかについては、判断が難しいところです。
 ご自分で判断されず、弁護士にご相談ください。

(3)個人再生手続を利用できる場合
 a 個人債務者である
 b 無担保の負債総額が5000万円以下である
 c 継続的にまたは反復して収入を得る見込みがある(小規模個人再生)
  ※給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがあり、変動の幅が小さい者(給与所得者等再生)
 この3つの要件を充たすことが必要となります。

(4)個人再生手続による債務の圧縮
 それでは、個人再生手続ではどのように債務を整理することができるのでしょうか。

 a 負債総額の5分の1
  (※1500万円超は300万円、3000万円超は10分の1)
 b 100万円
 c 清算価値(自分の持っている財産を清算した場合の合計額)
 d 可処分所得の2年分(※給与所得者等再生の場合のみ 同法241条2項7号)

のいずれか多い額が最低支払われなければならない額(=最低弁済額)となり、これを原則3年間で返済すればよいということになります。

 たとえば、負債総額が600万円、清算価値が80万円という場合を考えてみましょう。
 この場合、
 1 負債総額の5分1 = 120万円
 2 100万円
 3 清算価値 = 80万円
となりますから、小規模個人再生では、最低弁済額は一番多い額である120万円となります。
 給与所得者等再生では、可処分所得の額の2年分がいくらになるのか次第ということになります。

(5)住宅資金特別条項
 住宅資金貸付債権の全部又は一部を、民事再生法の規定するところにより変更する旨の条項を再生計画の中に盛り込むことになります。
 基本的には住宅資金貸付債権者の同意が不要です。
 この制度は、個人再生手続ができた当初からの目玉とされてきた制度ですが、住宅ローンを有するすべての方が、利用して住宅を維持することが可能となるわけではありません。
 a 再生債務者自身が建物を「所有」していることが必要です。
 b 再生債務者自身の居住の用に供する建物であることが必要です。
 c 店舗兼住宅であっても、専ら居住のために使用している部分が床面積の2分の1以上であれば利用できます。
 d 「住宅」に住宅ローンを担保にする担保以外に、抵当権・根抵当権などの担保権が設定されている場合には利用できません。
 e 住宅ローンの支払いが遅れ、保証会社が「住宅資金貸付債権」の保証債務を履行した場合(代位弁済をしている場合)でも、その履行がなされた日から6ヶ月間以内であれば住宅資金特別条項が定められます。

2. 個人再生手続の大まかな流れ

申立て(住所地を管轄する裁判所)
(裁判官面接)
再生手続開始決定
債権者の債権届出
異議申述期間
再生計画案の提出
債権者による書面決議
再生計画案の認可・不認可の決定

 申立てから再生計画の認可決定まで、6ヶ月程度かかることが一般的のようです。
 また、申立ての段階あるいは再生手続開始決定の段階から、再生計画案の提出までの間、再生計画で見込まれる毎月の返済額を積み立てていく「履行テスト」を求められる裁判所もあります。

3. おわりに

 個人再生手続は、煩雑で、内容的にも一般の方にはわかりづらい手続です。
 申立てをご検討される方は、ぜひ一度お近くの法律相談センターなどで、弁護士にご相談していただきたいと思います。

 個人再生手続に関する法律問題についてお気軽にお問い合わせください。

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