不動産取引、知的財産から離婚・遺言・相続まで。

あらゆるお悩みに、各分野に精通した弁護士が迅速に対応いたします。

研究レポート

2 障害のある子の財産管理に関する検討1

著者:弁護士 荒川俊也

2017/12/1

Q

 私たちは現在、60歳の夫婦ですが、重い障害のある子(30歳)がいます。
 子の障害年金や、私たちの蓄えで、子が生涯暮らしていくことが出来るだけの資産はあるのですが、子は重度の障害があるため、自身で財産管理をすることは出来ず、私たちが死亡、若しくは老いた時に、子が生活していくことが出来なくなるのではないか、心配しています。
 私たちの子が、生涯心配なく生活していくために、どのような方法が考えられるでしょうか。

ご質問のケースでは、障害のあるお子さんが生活していくうえで、生活資金には目途がついているものの、その財産をお子さん自身が適正に管理していくことが出来ない、という点に問題があるといえるでしょう。

 この場合、先ず考えなければならないのは、適切な成年後見人の選任です。
 成年後見人は、お子さんの法定代理人となり、財産管理、各種契約等をお子さんに代わって行うことになる立場の人です。
 お子さん自身での財産管理ができない、ということですので、成年後見人の選任は必須というべきでしょう。
 ただ、成年後見人の選任は裁判所が職権で行うことになります。
 また、成年後見人の業務の進め方については、現在のところかなり個人差があるものと思われ、ご相談者様の想いに沿うようなサポートをしてくれるかどうかは、わかりません。
 この点、成年後見人の候補者については、申立の段階で指定することができる(最終的には、裁判所が成年後見人を選任することになりますので、間違いなく候補者が選任される、ということは出来ません。)ため、信頼できる候補者を探すことが必要になるでしょう。
 子の生活を成り立たせていく、という視点で言えば、予め信頼できる成年後見人を選任してもらっておく、ということで足りるかもしれません。
 ただ、成年後見制度を利用する場合の限界として、成年後見制度はあくまで“本人意思の尊重”を目的とする制度であり、“本人を想う親の願いをかなえる制度”ではない、という点があげられるでしょう。
 すなわち、親としては、長年本人をケアし、子に対し、“こうしてあげたい”という理想のケアモデルがあるではないでしょうか。
 しかし、成年後見制度の枠内では、本人意思が判然としない中で、財産を使うことには謙抑的な姿勢が求められることになります。
 この点、成年後見制度と信託契約を組み合わせて利用することにより、出来る限り、親の想いを実現した子のケアを行うことが可能となると考えられます。
 すなわち、親は、信頼できる人(例えば、親戚等)に、財産を信託し、その信託の目的として、子に対してしてあげたいこと、を明示しておくことにより、“親の子への想い”を、実際に財産の支出を伴い実現することが出来ることになります。

民事信託に関する法律問題についてお気軽にお問い合わせください。

法律問題・トラブルは、弁護士法人リバーシティ法律事務所へ。

047-325-7378

(平日9:30~17:30受付)

法律相談予約専用ダイヤル

0120-25-7378

(24時間受付、土日対応可)

「相談したいけど…」と迷われている方、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの不安や悩みを解決するお手伝いをいたします。

TOP