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研究レポート

7 ネットオークションで絵画を販売する場合、作者の著作権を侵害しますか

著者:弁護士 梅村陽一郎

2008/4/9

Q

ネットオークションで絵画を販売する場合、作者の著作権を侵害しますか。

絵画を販売することは問題ないと思われますが、絵画の画像を公開することが作者の著作権を侵害するかが問題となります。つまり、絵画をデジカメで撮ってオークションサイトで公開することは、作者の複製権(著作権法21条)や公衆送信権(著作権法23条)を侵害するのか、という問題です。

 この問題について、現在のところ裁判所の判決が出ていないため、何ともいえません。
 ただ、絵画をネットオークションで販売するのに、写真を公開できないのでは誰も購入する気にならないでしょう。したがって、何とか合法にできないかという考え方がいくつか出ています。
 例えば、ネットオークションで販売する場合の作品の画像は、著作権法32条1項の「引用」に該当するのではないか、という考え方や、このような場合に著作権者が損害賠償や差し止めを求めるのは「権利濫用」に該当するのではないか、という考え方です。
 条文上ははっきりとしないため、やはり立法で解決すべきという考え方もあります。

2009/5/8補足

 平成21年3月10日、「著作権法の一部を改正する法律案」が国会に提出されました。改正案47条の2は、美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物の所有者その他のこれらの譲渡又は貸与の権限を有する者が著作権者の譲渡権又は貸与権を害することなくその原作品又は複製物を譲渡しようとするときは、譲渡等の申出の用に供するため、これらの著作物の複製又は公衆送信を行うことを認めています。つまり絵画をネットオークションで販売する場合には、その絵画の写真を必要な範囲内でネット上で公開することを認めるということになります。まだ法律案の段階ですが、正式に改正された場合には、平成22年1月1日から施行される予定です。

2009/11/25補足

 平成21年6月に著作権法の一部を改正する法律が公布されました。平成22年1月1日より、美術の著作物や写真の著作物をネットオークション等の対面で行われない取引において販売する場合には、権利者の許諾がなくとも、その美術の著作物等を複製、公衆送信することが認められるようになります。
 但し、著作権者の利益を不当に害しないため「政令で定める措置を講じ」なければならないとされています。

2010/9/2補足

どのような措置が必要か(著作物の表示の大きさ又は精度に係る基準(法第47 条の2、令第7条の2、規則第4条の2))

● 複製

ⅰ図画 50平方センチメートル以下
ⅱデジタル 32,400画素以下

ⅰⅱの基準のほか
複製物に係る著作物の表示の大きさ又は精度が、譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること。


● 公衆送信

コピープロテクションを用いない場合 ⅰ 32,400画素以下
ⅱ ⅰの基準のほか 著作物の表示の精度が、譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要な最小限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致するものであると認められること。
コピープロテクションを用いる場合 ⅰ 90,000画素以下
ⅱ ⅰの基準のほか 著作物の表示の精度が、譲渡若しくは貸与に係る著作物の原作品若しくは複製物の大きさ又はこれらに係る取引の態様その他の事情に照らし、これらの譲渡又は貸与の申出のために必要と認められる限度のものであり、かつ、公正な慣行に合致すると認められるものであること。

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