法律相談の際、弁護士がお伺いすること-その3(今後の事業活動について)
現在も事業を継続して行っている場合には、今後の事業活動をだれが行っていくかを検討する必要があります。
■民事再生・自主再建型の場合
自主再建型民事再生の場合、事業はその会社がそのまま継続することになります。
したがって、法的な問題が生じる余地は比較的少ないのではないかと思います。
ただし、現経営者が今後も経営を継続する場合には、債権者から「負債を大きくした経営陣に、今後の会社再建を図ることができるのか」といった意見が出されることもあります。
民事再生の場合は、債権者数の過半数、かつ、債権額の過半数の同意を得る必要があります。
したがって、債権者から上記のような意見が出されるような場合には、それに対する経営者の方の考えを説明し、納得してもらう必要があります。
■民事再生・スポンサー型の場合
スポンサー型民事再生の場合、事業はスポンサー会社が継続することになります。
この場合、事業を引き継ぐ会社との「マッチング」が重要です。
すでに意中の会社があるのであれば、その会社と条件を詰める必要があります。
これからスポンサーを探すという場合には、募集方法等を検討する必要があります。
募集方法としては、公募する方法、同業者に声をかける方法、アドバイザ会社に依頼する方法などが考えられます。
■破産の場合
現在仕掛中の工事や、製造途中の製品がある場合、事業の引継ぎがとくに問題となります。
突然事業が停止され、その後は一切の引継ぎもない、というのでは、取引先や顧客に対して多大なご迷惑をおかけしてしまうことになります。
場合によっては、消費者問題に発展する恐れもあります。
1つの解決方法としては、事業を引き継ぐ会社をあらかじめ選定しておき、
現会社でできる部分は現会社で仕事をし、それ以上の部分については、引継ぎ会社に残りの仕事を行ってもらう方法が考えられます。
この場合、引き継いでもらう会社にはよく事情を説明し、条件面等のすり合わせを行う必要があります。
そしてなにより、顧客に対してお詫びをし、事情を説明のうえ、引継ぎの話をする必要があります。
そのうえで、顧客と引継ぎ会社とで、新たな契約を結んでもらうことになります。
■視点
民事再生の場合にしても、破産の場合にしても、顧客・取引先に一定程度のご迷惑をおかけすることになります。
顧客・取引先へのご迷惑は、できるだけ減らさなければなりません。
経営者の方の覚悟と、ロジカルな説明,誠実な対応が必要です。
誠実に対応することは、現経営者が経済的再生を図るうえでも、プラスに働くこともあります。
以上の観点から、「現在の事業について、今後はどなたが実行するのか、お考えはありますか?」とお伺いしています。