会社が破産すると,従業員の給料はどうなりますか?
Q
会社が破産すると,従業員の給料はどうなりますか?
会社に支払う資金的余力が残っていれば、
法律が定める順位にしたがって支払われることになります。
会社に支払う資金的余力が残っていなければ、
独立行政法人労働者健康安全機構による立替払制度の利用を検討することになります。
<未払い賃金・退職金・解雇予告手当の破産法上の位置づけ>
会社に対する債権については、大きく分けると、
➀財団債権、➁優先的破産債権、➂一般の破産債権、➃劣後的破産債権の4つに分類できます。
➀>➁>➂>➃の順で優先順位が定まっており、その順に配当がなされることになります。
給料のうち、破産手続開始前3か月分については財団債権となり、それ以前の未払い分については優先的破産債権になります。
退職金については、退職前3か月分の給料の総額に相当する額が財団債権となり、それ以上の部分については優先的破産債権になります。ただし、破産手続開始前3か月分の給料の総額>退職前3か月分の給料の総額の場合には、破産手続開始前3か月分の給料の総額に相当する額が財団債権となります。
解雇予告手当については,優先的破産債権と位置づけられることが多いかと思いますが、他方、解雇予告手当の支払いは即時解雇の有効性を基礎づけるものであり、できる限り、支払いができるよう、努力されることが多いかと思います。
<会社に支払う資金的余力が残っているとき>
上記の順位に従って、支払いを検討することになります。
1つの考え方としては、まず、解雇予告手当を支払い、その後,給料、退職金の順に支払って行くことになろうかと思います。
支払いの時期としては、破産申立てまでに資金的余力があるのであれば、破産申立てを待たずに支払うことを検討します。
また、破産申立ての際には資金的余力がなくても、その後、破産申立てを行い、破産管財人が資金を確保した場合には、上記の優先順位によって、破産管財人から支払われることになります。
<会社に資金的余力が残っていないとき>
法的な優先権があったとしても、会社に資金的余力が残っていない場合には、実際問題として、会社から給料等を支払うことはできません。
このような場合に備え、会社に代わって、政府が会社に立替えをして未払い賃金等を支払う制度があります。
「未払賃金立替払制度」という制度で、独立行政法人労働者健康安全機構が実施しています。
ただし、立替払いの対象となるのは、未払い給料と退職金のみで,限度額が設定されている点には注意が必要です。
詳細については,こちらをご覧ください。
<経営者の方へ>
従業員の方にとっては、会社の破産は寝耳の水のことかと思います。
従業員の方の生活を確保するためにも、早期に支払えるのであれば,破産申立てを待たずに、支払うべきだと考えます。
その意味でも、会社の経営が苦しい場合には、すべての資金を使い果たす前に,ぜひ早期にご相談いただければと思います。