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研究レポート

7 高齢者に関するQ&A

2011/4/25

Q

経営する病院の損壊がひどいため、入院患者を他の病院で受け入れてもらうことになりました。本人の同意なく、患者の個人情報を受け入れ先の病院に提供をすることは可能でしょうか。

病院等が個人情報取扱事業者に該当する場合には、本人の同意を得ることが困難であり、
かつ、人の生命、身体、財産の保護のために必要がある場合に限り、可能となります。

(1) 個人データの第三者提供の禁止
個人情報の保護に関する法律(以下、「個人情報保護法」とする)では、個人情報取扱事業者は、原則として、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供することを禁止されています。
そのため、病院等が個人情報取扱事業者に該当する場合には、あらかじめ本人の同意を得ないで要援護者の住所、氏名等の個人データを第三者に提供することはできません。

(2) 個人情報取扱事業者該当性
個人情報の保護に関する法律では、特定の個人を識別できる情報を「個人情報」としています。
患者や施設利用者の氏名等は、特定の個人を識別できるので個人情報です。
また、特定の個人情報を検索できるように体系的に整理した情報の集合物を「個人情報データベース等」といい、個人情報データベース等を事業の用に供している者を「個人情報取扱事業者」といいます。
ただし、個人情報によって識別される個人の数の合計が過去6か月以内のいずれの日においても5,000を超えない者は個人情報取扱事業者から除外されます。

(3) 例外的に第三者提供が許容される場合
病院等が個人情報取扱事業者にあたる場合においても、人の生命・身体・財産の保護のために個人データを第三者に提供することが必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難な場合には、あらかじめ本人の同意を得なくても個人データを第三者に提供することができます(個人情報保護法23条1項2号)。



Q

父が入居していた有料老人ホームが全壊しました。入居一時金は返還されますか。

契約内容により、返還を受けられる可能性があります。契約内容のご確認をしてください。

地震によって施設が全壊しているとのことですので、施設側は利用者に対し、施設を利用させることができず、契約自体は終了することになります。
入居保証金の返還に関しては、「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」(平成14年7月18日老発0718003。平成18年3月31日老発0331002により改正。)(以下、「指針」といいます。)は、一時金方式(終身にわたって受領すべき家賃相当額の全部または一部を前払い金として一括して受領する方式)により受領する場合には、「一定期間内に死亡又は退去したときの入居月数に応じた返還金の算定方式を明らかにしておくとともに、一時金の返還債務を確実に履行すること。」や、「一時金のうち返還対象とならない部分の割合が適切であること」が必要であること、「契約締結日から概ね90日以内の契約解除の場合については、既受領の一時金の全額を利用者に返還すること」としています。
前記指針が示されて以降の契約書には指針に従って、一時金の返還が明記されているはずですので、契約書の内容をご確認ください。
前記指針が示される以前に締結された契約であり、契約書に一時金の返還についての定めがなくとも、指針の考え方を参考にしたうえで、一時金の返還交渉をしていくことが考えられます。



Q

父の入居していた老人ホームが全壊しました。契約書には、「既に支払った一時金については理由のいかんを問わず一切返還しない」と記載されています。あきらめなくてはなりませんか。

契約書に、一時金は一切返還しないという条項があったり、返還するとしても非返還対象分の割合が大きい場合は、消費者契約法9条、10条に基づきこのような条項は無効であると主張し、返還請求を試みることも考えられます。



Q

父の入居していた老人ホームが全壊しました。 契約書上は、一時金の返還請求ができることが定めてあるのですが、老人ホームの経営会社が破産してしまいました。一時金は全く返還されないのでしょうか。

一時金の返還請求権が認められたとしても、施設経営会社が破産した場合には、原則として破産債権としての配当しか受けることができません。

配当さえ受けられない場合も数多くあります。
但し、平成18年4月1日以降に設置された有料老人ホームについては、設置者に入居一時金の保全義務が課せられていますので、法令に従い保全義務を採っている施設であれば、一時金の残額又は500万円のいずれか低い方の金額について、返還を受けることができます。
なお、社団法人全国有料老人ホーム協会の入居者基金制度に加入している施設経営会社が破産等の事態となったときに、入居契約に基づく債務の不履行の損害賠償の予定として1人あたり500万円を支払うとする「入居者基金制度」があります。
この入居者基金制度では、地震や津波などに基づく損害については支払われないとされています。
ただ、同制度は入居者保護のために認められた制度であることから、今回の震災の影響により、利用の条件についても見直しが加えられるかもしれませんので、今後の動向には注意が必要です。



Q

一時避難先での介護保険の利用の可否

一時的に別市町村等に避難した場合でも、従前からお住まいの市町村等からの介護保険の給付を受けることができます。

介護保険の保険給付は、住民票が基準となるので、給付市町村等に住民票がある方が大震災により一時的に別市町村等に避難した場合でも、給付市町村等から給付を受けられることになります。
住民票を給付市町村等から別市町村等に移動した場合には、前述の通り住民基本台帳法の転入届(介護保険の被保険者資格を有する旨の付記)をすることにより、当該地域での受給資格を取得することになります。
従前の居住地域における要介護認定または要支援認定の内容は、等級内容も含めて移転先の市町村等でも同じ認定内容で移行しますから、新しい居住市町村等で改めて要介護認定ないし要支援認定を受けるための手続が必要になるわけではありません。
なお、平成23年3月12日の厚生労働省老健局は、各都道府県介護保険担当主管部に対し、介護保険の被保険者証を被災によって消失あるいは家屋へ残したまま避難している場合には、指定居宅サービス事業者、介護保険施設等に被保険者証を提示できない場合においても、被保険者の氏名・住所・生年月日を申し立てることにより、被保険者証を提示した時と同様のサービスを受けることができる取り扱いにする旨の事務連絡をしています。
また、平成23年3月17日厚生労働省老健局各都道府県介護保険担当主管部に対し、災害救助法の適用市町村に住所を有する介護保険法の被保険者であって、

(1) 当該被保険者又はその属する世帯の生計を主として維持する者が、住宅、家財、その他の財産について著しい損害を受けたこと
(2) 当該被保険者の属する世帯の生計を主として維持する者が死亡又はその者が心身に重大な障害を受け、若しくは長期間入院したことにより、その者の収入が著しく減少したこと

のいずれかの事情を申し立てた場合には、当面、5月までの介護サービス分につき、5月末日まで支払を猶予する取り扱いとすることとしています。
(厚生労働省HP http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015f26.html

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