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研究レポート

1 訪問販売でのトラブル

著者:弁護士 荒川俊也

2011/2/9

Q

80歳で一人暮らしをしている父親が、明らかに不要であるにも関わらず、訪問販売で高額な布団を何十枚も購入する契約をしていました。何とか契約を取り消したいと思いますが、どうすればよいでしょうか。

質問者のケースについて考えられる方法として、
①クーリング・オフ制度の利用
②特定商取引に関する法律(以下、「特商法」と記載します。)に基づく取消し、契約解除
③消費者契約法に基づく取消し
④その他民法による詐欺・強迫による取消し
錯誤無効の主張などが考えられます。

①について
本件質問者のケースのように、訪問販売で布団を購入した場合には、法が定める申込書面または契約書面を受領した日から起算して、8日間経過するまでの間は、クーリング・オフ制度を利用することができます(特商法第9条ただし書き)。
なお、訪問販売業者が交付した書面に法定の要件の不備がある場合には、クーリング・オフの起算日が到来しませんので、契約書面を受領してから8日間経過していても、クーリング・オフをすることができます。
※クーリング・オフの詳細は別稿「クーリングオフについて」をご参照ください。

②について
特商法第9条の3では、同法第6条1項の規定に違反して、販売業者が不実の告知をしたことにより、消費者が誤認して売買契約の申し込みの意思表示をした場合につき、当該意思表示を取り消すことができるとしています。
また、特商法第9条の2では、「その日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品」の売買契約については、売買契約の申し込みを撤回することができると定めています。
通常必要とされる量を著しく超えるかどうかの判断においては、一般通常人の契約行動における購入分量が目安となります。
相談者のケースでは、一人暮らしであれば、布団を何十枚も購入することは通常ありませんので、同条の要件を満たすことになります。

③について
高齢者は、販売事業者の不適切な勧誘行為により、困惑して契約締結の意思表示をしてしまいがちです。
そこで、消費者契約法第4条3項は、消費者が販売事業者に対し、「その住居...から退去すべき旨の意思を示した」のに、当該事業者が「退去しないこと」により、当該消費者が困惑し、売買契約の申し込みの意思表示をした場合には、その意思表示を取り消すことができる旨定めています。
「退去すべき旨の意思を示した」とは、消費者が「帰ってくれ」などと明示的な意思表示をした場合はもちろん、黙示的であっても、退去を望んだものと社会的に評価できる行為があれば、「退去すべき旨の意思を示した」ものといえます。
また、「退去しないこと」とは、速やかに退去しなかったことで足り、その場に長時間留まっていたことを要しません。

④について
上記の取消し、解除ができない場合であっても、場合によっては民法による詐欺、強迫による取消し、錯誤無効の主張などにより、問題解決を図ることができる場合があります。

以上のように、質問者のケースについて、様々な方法による問題解決が考えられますが、制度が複雑であるうえ、悪徳事業者が雲隠れしてしまうことも多いため、早めに弁護士等、専門家へのご相談をされることをお勧めいたします。

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