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事件の概要
知的障碍者入所更生施設丙川園(以下、「本件施設」という。)において、施設職員が入所者X1に対し暴行を加え、または過失によってX1をトイレ内で転倒させたとして、X1とX1の両親(X2,X3)が、施設を設置運営する社会福祉法人Yに対して不法行為又は債務不履行に基づき損害賠償請求をした事案。
当事者
原告:X1、X2、X3
被告:施設を設置運営する社会福祉法人Y
請求の内容(抜粋)
被告は、原告X1に対し、金1億3926万3211円...を支払え。
判決主文(抜粋)
原告らの請求をいずれも棄却する。
争点に対する裁判所の判断
争点1
施設職員によるX1に対する暴行の有無について
施設職員がX1に対して暴行をふるったと認めるに足りる証拠はない。
争点2
本件転倒について、施設職員の作為義務違反は認められず、被告の安全配慮義務についても同様に認められない。
(判断の理由)
・X1は遅くとも平成7年12月以降、転倒事故が絶えなかったこと。
・人的配置において本件施設を上回る病院においても頻繁に転倒事故が生じていたこと。
・本件施設への入所は、病院閉鎖予定に伴い新たな受け入れ先を探した結果であること。
・知的障害者入所更生施設の人員配置は、病院には及ばないものであり、本件施設においてもそのことは前提とされていたこと。
・被告はX2に対し、X1が施設入所を継続した場合、転倒の危険性があることを問題提起したが、X2はX1の入所継続を希望する意見を出したこと。
→本件施設はX1の転倒を全て防止する義務まで負うものではなく、被告が施設運営基準に基づいて規定する人員配置において、可能な限りの安全配慮義務を負ったに過ぎないというのが相当。
・被告の事故当時の夜勤体制は、生活支援員1名が18名の入所者の支援を行い、かつ1時間の休憩をとるというもの。
→本件施設の職員が、X1が多動性の活動を行っている間、介助を行うために同人に常時ついて回ることを職員の義務とすることは本件施設の人員配置上不可能を強いることになる一方、X1と同様の状態にある知的障害者の受け入れを困難にすることになるし、これら知的障害者に本件施設の利用、ひいては開放的処遇を通じた成長や社会適応の途を実質上閉ざすことになりかねず、相当でない。
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