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研究レポート

2 老親の介護に関する問題

著者:弁護士 荒川俊也

2011/3/23

Q

田舎に80歳になる独り暮らしの母がいます。
母には妹がおり、子供は私一人です。
母は今はまだ元気ですが、要介護状態等になった場合には法律上、
私が面倒をみなければければならないのでしょうか。

1.扶養義務

民法上、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」とされています。(民法877条1項)
また、それ以外の親族について、民法は、「家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合の外、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる」と定めています。(民法877条2項)
つまり、民法の規定上、親子間や兄弟姉妹間では、無条件に扶養義務があることになります。
そして、扶養義務がある者が複数いる場合には、民法は「扶養をする義務のある者が数になる場合において、扶養をすべきものの順序について、当事者間に協調が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める」としています。(民法878条)
相談のケースでは、民法上の扶養義務者である妹と子がいることになりますので、まず当事者間による協議により扶養義務者を定めることになります。
なお、扶養義務が発生するためには、扶養を受ける人が要扶養状態にあり、扶養義務者が、扶養可能状態にあることが必要とされていますが、要扶養状態、扶養可能状態いずれも経済的状態を指すものであり、要介護状態であっても必ずしも要扶養状態にあるとは限りません。

2.扶養の程度

扶養義務の程度について、民法は「扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める」としています。(民法879条)
なお、扶養義務の程度については、当事者間の関係によって異なるとされています。 子の老親に対する扶養義務、兄弟姉妹の扶養義務については、自分の地位や生活を犠牲にすることのない程度のものであると理解されています。
すなわち、民法上扶養義務者が負う扶養義務は、自己の地位や生活を犠牲にしないで可能な程度の経済的支援に留まるものであり、それを超えて老親を現実に引き取ることが義務付けられるものではありません。

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