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なぜ、民事法上,時効制度は存在するのでしょうか。民事法上の時効制度の趣旨をどのように捉えるべきなのか。この点については、いろいろな角度からの検討がなされています。代表的な考え方としては、以下の3つの考え方があるといわれています。
(1) 永続した事実状態の保護
一定の事実状態が永続するときは,社会はこれを正当なものと信頼し、それを基礎としていろいろな法律関係を築きあげます。この場合,後日になってこの事実状態を覆して正当な権利関係に引き戻すことは、その上に築き上げられた社会の法律関係を覆すことになります。そこで、社会の法律関係の安定のために、一定の期間継続した事実状態は、そのままこれを法律関係として覆さないことが正当だと考える考え方です。
(2) 権利の上に眠れる者は保護しない
真実に反している法律関係が存在していた場合、権利者は自らの権利を主張して、その真実に反している法律関係を除去することが可能であったはずです。しかし、永年の間そのような自らの権利を主張せず、いわば権利の上に眠っていた場合には、法律上保護されないとする考え方です。この考え方は、時効制度を権利者の権利不行使に対するサンクション(制裁)であると捉えるものです。
(3) 証明困難の救済
一定の事実状態が永続している場合に、この状態が正当な法律関係に合致するかどうかを確実な証拠によって判断することは、ときには困難である場合があります。たとえば、ある貸金契約があった場合、本来は債務者が貸金を完済して債権債務関係が全くなくなっていたにもかかわらず、何十年と経った後に突如債権者が再び請求を行ってきた場合、債務者の側が何十年も前の完済の事実を証明することは難しいのが通常です。そこで,このような場合に債務者に時効の主張を認めるべきである、つまり、時効制度を証明困難の救済であると捉えるのがこの考え方です。
これらの考え方は、相互に矛盾しあうものではなく、時効制度をどの角度から見ているのかという相違があるに過ぎないと考えられています。上記(1)の考え方は、取得時効の制度について焦点を当てたものと考えられますし、上記(2)や(3)の考え方は、消滅時効の制度について焦点を当てたものと考えられます。
時効制度の内容を考えていく際には、上記の趣旨を問題解決に向けての指針としていくことが糸口になります。これらの趣旨が、実際の法律問題の解決に向けてどのように作用していくのか。今後は具体的事案に即して検討していくこととします。
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