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時効とは,一定の期間が経過することによって,ある法律効果が発生する制度であることは,前回までに記載したとおりです。では,「一定の期間」は,法律上,どのように計算されるのでしょうか? 今回は,時効期間の計算方法について記載します。
民法上,時効期間の起算点(時効期間の進行のスタート地点)については,期間をどのように定めるかによって異なります。
(1)時効期間を「時間」によって定めたとき
たとえば,時効期間を,時・分・秒を単位とした場合。
→その期間は,即時から起算する(民法139条)。
(2)時効期間を「日・週・月・年」によって定めたとき
→原則として,その期間の初日は参入しない(民法140条本文)。
このことを「初日不参入」といいます。
この結果,時効期間は,翌日から起算されることになります。
→ただし,例外として,その期間が午前0時から始まるときは,初日も参入して計算する(民法140条ただし書)。
1日の途中で時効期間がスタートした場合,その期間の初日を参入するとすれば,最初の1日は24時間よりも短い期間でスタートしてしまうことになります。 時効制度は,人々の権利義務に対して大きな変動を与えます。
このような,影響力の大きさに鑑み,初日が24時間のすべてを使えないような場合には,初日は参入せず,翌日から起算すると考えるのが,公平であり,簡便です。
他方,初日であっても24時間のすべてを使うことができるのであれば,初日を参入しても不都合はありません。初日の24時間のすべてを使うことができる場合,それは,端的に言えば,午前0時から期間がスタートする場合です。
この場合には,初日を参入して起算すると考えられています。
たとえば,「今日から2年後に時効が完成する」という事例の場合,時効期間の起算点は,原則として明日ということになります。午前0時でない限り,起算点の24時間のすべてを使えないからです。
他方,「来月10日から2年後に時効が完成する」という事例の場合,時効期間の起算点は,来月の10日です。これは,来月10日の24時間すべてを使うことができるからです。
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