不動産取引、知的財産から離婚・遺言・相続まで。
あらゆるお悩みに、各分野に精通した弁護士が迅速に対応いたします。
前回までに,民事法上の時効制度の趣旨と,刑事法上の公訴時効制度の趣旨を取り上げました。それらの趣旨の中には,現代の社会情勢の変化や前提となる事実関係が変化した結果,現在でも妥当するのかどうか,再検討が必要なものも含まれているのではないでしょうか。
この点に関しては,現在,民事法の領域でも,刑事法の領域でも法改正の動きが活発化しています。今回は,時効制度の法改正論議について,取り上げます。
民事法の領域では,民法(債権法)改正検討委員会などにおいて,民法の改正議論が活発に行われています。
同委員会では,民法上の時効制度のうち,債権の消滅時効について,以下のような改正案を提示しています。この提案は,同委員会のホームページでも公開されています。
→http://www.shojihomu.or.jp/saikenhou/shingiroku/shiryou0704.pdf
(1)債権時効の期間は、民法その他の法律に別段の定めがある場合を除き、債権を行使することができる時から[10年]を経過することによって満了する。
(2)(1)の期間が経過する前であっても、債権者(債権者が未成年者又は成年被後見人である場合は、その法定代理人)が債権発生の原因及び債務者を知ったときは、その知った時または債権を行使できる時のいずれか後に到来した時から[3年/4年/5年]の経過により、債権時効の期間は満了する。
これに対し,現行法では,以下のとおりに規定されています。
第167条
1 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2 債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する
これらの規定を比較すると,原則規定である1項は,あまり大きな相違は内容にも思えます。しかし,改正案では,2項の規定がある関係で,実際上,最大でも5年で債権は時効消滅してしまう場面が多くなってしまうことが想定されます。ただし,重要な損害賠償請求権など,いくつかの例外規定を設けることも検討されているようです。
刑事法の領域では,法務省内に「凶悪・重大犯罪の公訴時効のあり方に関する省内勉強会」及び「公訴時効ワーキンググループ」が設けられています。
この中では,これまで公訴時効制度の趣旨等の基本的理解や公訴時効に関連する事件の実情等を確認し,今後の方針について様々な観点から検討が行われています。特に重点を置いて審議されたのは,以下の3点だといわれています。
(1)公訴時効制度の趣旨等を踏まえた見直しの当否,必要性や考えられる見直し方策の利点
(2)対象犯罪の範囲
(3)現に時効が進行中の事件に対する遡及適用の問題
これらを踏まえ,法務省では「凶悪・重大犯罪の公訴時効の在り方について~当面の検討結果の取りまとめ~」という報告書をまとめています。この報告書は,法務省のホームページでも公開されています。
→http://www.moj.go.jp/KEIJI/keiji47.pdf
以上のように,時効制度は民事法の領域でも,刑事法の領域でも大きく変わろうとしています。民法は,民事法の基本法であるとも言われています。刑事訴訟法は,刑事裁判手続の根幹を規定する法律です。
これらの法改正は,私たちが社会生活を送る上で,大きな影響を与えるのではないでしょうか。今後も改正法の動向については,注視していく必要があります。
☎047-325-7378
(平日9:30~17:30受付)
法律相談予約専用ダイヤル
0120-25-7378
(24時間受付、土日対応可)
「相談したいけど…」と迷われている方、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの不安や悩みを解決するお手伝いをいたします。