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研究レポート

7 化粧品のキャンペーン

著者:弁護士(日本・米国ニューヨーク州)・弁理士 南部 朋子

(改訂)2019/2/14

Q

 当社(X社)は化粧品メーカーで、これまで無添加・無香料の基礎化粧品をヒットさせてきましたが、近頃同じような製品が増え、苦戦を強いられています。
 そこで、当社製品を消費者に強く印象付けるため、当社の基礎化粧品を買ってくれた人全員に、3日間という限られた期間だけ、景品として有名高級ブランドのポーチをプレゼントしたいのですが、何か法的な問題はあるでしょうか。

1. 結論

 景品を提供する基礎化粧品の価格次第で、景品表示法に違反し、違法となる可能性があります。

2. 解説

 販売を促進するため、商品に景品を付けて販売することはよく行われていますが、このような景品付販売は無制限に認められているわけではありません。
 具体的には景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)という法律で制限がなされています。

 景品表示法4条では「内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。」として、景品の提供に関する事項について内閣総理大臣に制限をする権限を与えています。
 これに基づき、内閣総理大臣は、いくつかの告示を出し、制限を具体的に規定しています(注1)。

注1:消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律の附則第4条第1項及び第6条第2項により、改正前の景品表示法に基づいて公正取引委員会が行った指定、禁止・制限は、改正景品表示法に基づき内閣総理大臣が行ったものとみなされます(消費者庁ウェブサイトより)。

 本問では、「当社の基礎化粧品を買ってくれた人全員に」景品を与える場合が問題となっていますので、いわゆる総付景品(一般消費者に対して懸賞によらないで提供する景品類。ベタ付景品ともいいます。)についての制限を見る必要があります。
 内閣府は「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」という告示を出しており、その第1条では、「一般消費者に対して懸賞(「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」(昭和五十二年公正取引委員会告示第三号)第一項に規定する懸賞をいう。)によらないで提供する景品類の価額は、景品類の提供に係る取引の価額の十分の二の金額(当該金額が二百円未満の場合にあっては、二百円)の範囲内であって、正常な商慣習に照らして適当と認められる限度を超えてはならない。」と定められています。
 これによれば、景品を提供する取引の価格の10分の2の金額の範囲内のものならば、景品として提供してよいとされていますが、さらに、公正取引委員会で定めている「『一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限』の運用基準」に第1項(2)は以下のように定めています(注2)。

1 告示第一項の「景品類の提供に係る取引の価額」について
(2)購入者を対象とするが購入額の多少を問わないで景品類を提供する場合の「取引の価額」は、原則として、百円とする。ただし、当該景品類提供の対象商品又は役務の取引の価額のうちの最低のものが明らかに百円を下回っていると認められるときは、当該最低のものを「取引の価額」とすることとし、当該景品類提供の対象商品又は役務について通常行われる取引の価額のうちの最低のものが百円を超えると認められるときは、当該最低のものを「取引の価額」とすることができる。

 したがって、本問でいえば、購入すると景品が提供される基礎化粧品のうち、最低価格の化粧品の価格を基準として、その10分の2以下の価格の景品であれば、提供が許されることになります。

(注2)消費者庁においても、公正取引委員会のガイドライン、運用基準等を踏まえた法運用を行っています(消費者庁ウェブサイトより)。

 御社の基礎化粧品の最低価格がいくらなのかはわかりませんが、例えば一番安いもので3000円でしたら、600円までのものであれば、景品として提供して差し支えません。
 よって、景品を提供する御社の基礎化粧品の最低価格が、有名高級ブランドのポーチの価格の5倍以上ならば、ポーチを景品として提供してもよいのですが、そうでない限りは、景品表示法に違反してしまうことになります。

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