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研究レポート

9 化粧品の販売方法の制限について

著者:弁護士(日本・米国ニューヨーク州)・弁理士 南部 朋子

Q

 当社は、大手化粧品メーカーA社の製造する化粧品を専門に卸売販売をしています。
 当社は、A社製造の化粧品の卸売先の各小売店との間で、A社製化粧品の供給を目的とした特約店契約を締結しています。その契約の中で、各小売店に対し、A社製化粧品のカウンセリング販売(当社の指導に従い、顧客に対して化粧品の使用方法等を説明したり、化粧品について顧客からの相談に応じたりして販売すること)を義務付けています。このように、当社が小売店に対し、化粧品の販売方法制限することに独占禁止法上の問題はあるのでしょうか。

1. 結論

 販売方法に関する制限が、ブランドイメージを保持するために行われる等化粧品の販売のための合理的な理由に基づくもので、かつ御社の他の取引先に対しても同等の制限が課せられている限りは問題ないと思われます。

2. 解説

 化粧品販売店が上記のようなカウンセリング販売を小売店義務付ける約定が、独占禁止法で規制されている

1 拘束条件付取引(相手方とその取引の相手方との取引、その他相手方の事業活動を不当に拘束する条件を付けて、当該相手方と取引すること。)

 及び

2 再販売価格の拘束(正当な理由がないのに相手方に対しその販売する当該商品の販売価格を定めてこれを維持させることその他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束すること。)

にあたり、許されないかどうかという点が争われた判例があります(最高裁第三小法廷判決平成10年12月18日 判例時報1664号14項。 関連判例としては、最高裁第三小法廷判決平成10年12月18日 判例時報1664号3項があります)。

(上記1の点について)
判例は、「メーカーや卸売業者が販売政策や販売方法について有する選択の自由は原則として尊重されるべきである」として、メーカーや卸売業者が小売業者に対して、カウンセリング販売などの形態によって販売方法に関する制限を課すことは、「それが当該商品の販売のためのそれなりの合理的な理由に基づくものと認められ、かつ、他の取引先に対しても同等の制限が課せられている限り」独占禁止法の規制する拘束条件付取引にあたらないと判断しました。
 カウンセリング販売の義務付けが合理的な理由に基づくか否かについては、カウンセリング販売の目的が、「最適な条件で化粧品を使用して美容効果を高めたいとの顧客の要求に応え、あるいは肌荒れ等の皮膚のトラブルを防ぐ配慮をすることによって、顧客に満足感を与え、・・・いわゆるブランドイメージ・・・を保持しようとするところにある」ならば、販売方法に関する制限は合理的理由に基づくと判断しました。化粧品については、顧客の信頼(ブランドイメージ)保持が化粧品市場における競争力に影響するという特性があることが判断の基準になっています。

(上記2の点について)
 判例は、「販売方法の制限を手段として再販売価格の拘束を行っていると認められる場合・・・には独占禁止法上問題となり得る」としましたが、カウンセリング販売を義務付けた場合、「販売経費の増大を招くことなどから多かれ少なかれ小売価格が安定する効果が生ずるが、右のような効果が生ずるというだけで、直ちに販売価格の自由な決定を拘束しているということはできない」としてカウンセリング販売を義務付けることは、再販売価格の拘束に当たらないと判断しました。

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