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研究レポート

11 化粧品の販売と個人情報について

著者:弁護士(日本・米国ニューヨーク州)・弁理士 南部 朋子

2005/5/2

 当社は化粧品の小売店です。美容部員が顧客に対してカウンセリングを行って化粧品を販売することがありますが、その際、顧客に住所、氏名、生年月日、電話番号、職業及び肌のトラブルの種類(にきび、感想肌、しわ、しみが気になるなど)を書く欄があるカード(顧客カードといいます)に記入してもらい、当社で顧客名簿として保管してもらいます。これは、当社が顧客に合った化粧品を提案し、顧客の信頼を得るとともに当社の扱う化粧品の効率的な宣伝及び販売活動を行うためです。

Q

顧客の職業や肌のトラブルの種類は個人情報保護法でいう「個人情報」にあたりますか。

個人情報にあたります

  「個人情報」とは、「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」をいいます(個人情報保護法第2条1項)。

 顧客の職業や肌のトラブルの種類は、顧客の氏名とともに顧客カードに記載されており、特定の個人を識別することができる情報ですから、御社にとって「個人情報」にあたります。

Q

顧客カードはコンピューターで検索できるようにはしていませんが、当社は、個人情報保護法上の「個人情報取扱事業者」にあたりますか。

個人情報取扱事業者にあたります

 「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者をいいます(同法第2条第3項本文 ただし同項各号に列挙されている者は除かれます)。
 「個人情報データベース等」とは、個人情報を含む情報の集合物であって、
(1)  特定の個人情報を、電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの
(2)  (1)のほか、個人情報を一定の規則に従って整理することにより特定の個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成した情報の集合物であって、目次、索引その他検索を容易にするためのものを有するもの
をいいます。

 御社の顧客カードも、検索のため一定のルールに従って整理されていると思われます。
 したがって、御社も「個人情報取扱事業者」にあたると思われます。
 ただし、その事業(小売業)に使用する個人情報データベース等を構成する個人情報により識別される特定の個人の数の合計が過去6ヶ月以内に5000を超えない場合は、個人情報取扱事業者にあたりません(同法第2条3項5号、個人情報の保護に関する法律施行令第2条)。

Q

顧客カードを記入してもらうときには、顧客に対し、カードに記載された個人情報の利用目的を明らかにする必要がありますか。

個人情報の利用目的を明らかにする必要があります

 そもそも個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、(あらかじめその利用目的を公表している場合を除き)速やかに、その利用目的を本人に通知又は公表する義務があります(個人情報保護法第18条1項)。ただし、個人情報取扱事業者が本人から直接書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならないとされています(同条2項)。
 顧客カードに記入してもらうことにより、その顧客の個人情報を本人から書面で直接取得する以上、顧客からカードの提出を受ける前に、当該顧客にカード記載の個人情報の利用目的を明示しなければなりません。

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