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研究レポート

10 化粧品のデザインと法律

著者:弁護士(日本・米国ニューヨーク州)・弁理士 南部 朋子

Q

私はデザイナーですが、香水のビンのデザインの依頼を受けました。香水瓶のデザインに意匠登録を受けるには、法律上どんな要件が必要となるのでしょうか。

1. 結論

香水のビンのデザインについて
 1 意匠法上の「意匠」であること
 2 工業上の利用可能性があること
 3 新規性があること
 4 創作非容易性があること
 5 先願性(同一または類似の意匠について最先の出願であること)
 6 先願意匠の一部と同一または類似ではないこと
 7 「意匠登録を受けることができない」意匠にあたらないこと
の要件がすべて満たされている必要があります。

2. 解説

1 意匠法上の「意匠」であること

 意匠とは物品(物品の部分を含む)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいいます(意匠法第2条1項)。
 つまり、おおまかにいえば、意匠とは、
 (1) 「物品」のデザインであること
 (2) 形状、模様、色彩またはこれらの組み合わせ
 (3) 視覚に訴えるものであること
 (4) 美しさを感じさせるものであること
である必要があります。

2 工業上の利用可能性があること

 工業的技術により同じ物を繰り返し量産できなければなりません(第3条1項柱書き)。1回しか作れないような物品のデザインは、意匠登録を受けられないことになります。

3 新規性

 意匠法3条1項1号ないし3号に該当しないことをいいます。おおまかにいえば、デザインが公に知られていないものである必要があります。(ただし、例外があります第4条)

4 創作非容易性

 あるデザインについて、
(1)その意匠登録出願前に
(2)その意匠の属する分野における通常の知識を有するもの(当業者)が
(3)日本国内または外国において公然知られた形状等に基づいて
(4)容易に創作できた
といえる場合は、当該デザインについて意匠登録を受けられません(第3条2項)。
 例えば、当業者にとってありふれた手法で、公然知られた意匠の構成要素の一部を他の意匠に置き換えて作られたり、公然知られた複数の意匠を組み合わせて作られたりしたような意匠は、創作非容易性を欠くとされます。

5 先願性

 同一または類似の意匠について出願が競合した場合、一番先の出願人にのみ登録が認められます(第9条1項2項)。
 一番先に意匠を創作した人も、出願が遅れれば、登録が認められない場合があるということです。

6 先願意匠の一部と同一または類似ではないこと

 意匠登録出願に係る意匠が、その出願日前に意匠登録出願された他の意匠(先願意匠)の一部と同一又は類似であるときは、意匠登録を受けることができないとされています(第3条の2)。

7 「意匠登録を受けることができない」意匠にあたらないこと

 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある意匠など、意匠登録ができないものがあります(第5条1号ないし3号)。

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