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研究レポート

6 任意的回収方法及びその注意点(その3)

著者:弁護士 宮本勇人

2009/5/7

その6・任意的回収方法及びその注意点(その3)

債権譲渡

 債務者のもとに現金はないが、債務者が売掛金を有していることがあります。例えば、債務者が工務店で、施主(「第三債務者」といいます)に対して請負代金債権を有しているような場合がこれにあたります。債権者は、債務者の第三債務者に対する債権を譲り受け、取り立てることにより、債務者に対する債権に充当します。

 債務者に手持ちの現金がなく、債権者に対する支払いができない場合に問題となりますので、債務者の財務状況が悪化しているのが普通です。そのような場合は、債務者は、他の債権者からの請求を免れるために、同様に第三債務者に対する債権を複数の債権者に対して譲渡を行う可能性があります。債権の譲渡が複数の債権者に対して行われた場合は、第三債務者に対して債権譲渡の通知が届いた順に従って優先順位が決定されます(一番初めに債権譲渡の通知が届いたもののみが権利を有します)。そして、いつ届いたかを、明確化し後日の争いを防止するために、内容証明郵便を利用すると良いでしょう。

 債権譲渡が利用される場合は、第三債務者から見れば異常な状況ですので、信用不安を招くおそれもあります。また、前述したように債務者の財務状況が悪化している場合が多いでしょうから、後日、破産等の法的手続に移行した場合はいわゆる否認行為として、破産管財人等から債権譲渡の効力を否定される場合もないわけではありません。要は、債権者の判断によるのでしょうが、債務者が破産の申立をするとか、破産管財人等が否認の請求をしてくるとかは、未確定ですので、債権回収の現場としては、債権譲渡の方法で回収が可能であれば、やらざるをえないではないかと思います。

 もちろん、手形が不渡りとなったり、弁護士が債務整理手続を開始したとの通知(「介入通知または受任通知」といいます)をした場合は、「支払停止」があったとして、それ以後の回収行為は否認される可能性が高くなりますので、避けるべきでしょう。

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