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研究レポート

7 任意的回収方法及びその注意点(その4)

著者:弁護士 宮本勇人

2009/6/16

その7・任意的回収方法及びその注意点(その4)

相殺(そうさい)

 AがBに対して売掛金2000万円を有しているとします。
逆に、BもAに対して売掛金1500万円を有しているとします。

 AはBに対する売掛金のうち1500万円分を、自分がBに対して負って債務と対等額で消滅させることによって、実質的に債権の回収をすることができます。もちろん、AがBに対して1500万円支払い、BがAに対して2000万円支払うという方法も考えられますが、明らかに面倒であるとともに、先に支払ったほうが無資力の危険を背負うことになり、不公平です。たとえば、AがBに1500万円支払った後、Bが倒産してしまった場合には、Aの有している売掛金の回収はほとんど不可能になってしまいます。

 そこで、Aとしては相殺という方法で少なくとも、1500万円は確実に回収することができます。

 但し、次の点については注意する必要があります。

 まず、相殺の相手方を間違えないことが必要です。相殺の通知を送るときには法人か代表者個人かをはっきりさせる必要があります。
 また、相殺の時にはAがBに対して有している売掛金の支払い時期が来ていることが必要です。そのため、契約の際には、弁済期に支払いが遅れる等ある一定の事由がある場合には期限の利益を失う(支払い時期が早まること)旨の規定を設けておくと良いでしょう。逆に、BがAに対して有する売掛金の支払い時期が来ている必要はありません。Aが早めに支払うこと(期限の利益の放棄)は許されるからです

 

 相殺の時期については、原則として特に制限はありませんが、Bが民事再生手続を行っている場合には、債権届出期間内に相殺する必要がありますので注意してください。この時期までに、相殺の意思表示が相手方に届かないと、自分が負っている債務については全額支払い、自分が持っている債権については、民事再生手続により、減額された金額しか請求することができないことになるからです

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