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たとえば、警察白書では、暴力団組員が、いわゆる出会い系サイトで知り合った女性とトラブルになった従業員の所属する運送会社を複数回訪れ、運送会社の役員に対し、「おたくの社員にレイプされたということで、女性が会社を訴えたいと言っている。私が中に入って丸く収めます。犯人は、2年半から5年の懲役になる。刑務所から出てきても会社に汚名がつく。お金で折り合いがつくかわからないが、そういう解決のほうがいいんじゃないか」などと示談金名目で金品の贈与を要求したという事例が報告されています。
このような要求をされた役員の立場からすれば、仮に、「あの会社の社員は、女性をレイプした」などという評判がたてば、会社の信用にもかかわるから、暴力団組員の要求する金額を支払い、示談してしまいたいという考え方をするかもしれません。
しかし、仮に、暴力団組員の要求する金額を支払ったとすれば、今度は、暴力団組員は、「おたくの会社は、社員のレイプを隠ぺいするために金で解決しようとしたと公表する。公表してほしくなければ、解決金を支払ったほうがよいのではないか」などとして、さらなる金品の要求をしてくるでしょう。
「社員がレイプしたなどという評判を立てたくない」「金で隠ぺいしようとしたなどと言われては困る」といった会社の「弱み」につけこみ、これをきっかけにして金品の要求をされることが考えられるのです。
なお、警察白書によれば、上記事例では、結局、暴力団対策法に基づき、中止命令が発出されたと報告されていますので、金品の要求を受けた会社は、すぐに警察に届け出たものと考えられます。
このような反社会的勢力の実態に対応するには、反社会的勢力に「弱み」を見せないことが重要です。
「弱み」を見せない対応とはどのようなものか、については、今後、具体的な対策の中で述べていきます。
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