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FAQ

破産をすると会社を退職しなければならないのですか。

著者:弁護士 丸島一浩

2015/8/11

Q

破産をすると会社を退職しなければならないのですか?

退職する必要はありません。
ただし,資格制限がある場合,経理課などのお金を扱う部署に在籍している場合には,注意が必要です。

1 原則論
 退職の必要はありません。
 個人的な負債を原因とする破産は,従業員の私生活上の行為であり,会社の企業秩序とは関係しない行為といえます。
 よって,個人的な負債を原因とする破産をした従業員を会社が解雇することは,原則としてできないと考えます。

2 資格制限がある場合やお金を扱う部署に在籍している場合
 ただし,生命保険募集人や,証券外務員,宅地建物取引士などの資格を有している場合や,経理課などのお金を扱う部署に在籍している場合には,注意が必要です。

 上記のような資格を有している場合,「破産者で復権を得ていない」間には,その資格の登録が取り消されるなどの不利益があります。
 たとえば,千葉県のホームページによれば,宅地建物取引主任者(同ホームページの表現のママ)が破産開始の決定を受けた場合には,30日以内に所定の届出書を提出する必要がある旨,記載されています(平成27年8月10日閲覧, https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfudou/tetsuzuki/takuchi-menkyo/04haigyou.html)。

 また,経理課などのお金を扱う部署に在籍している場合には,「自己破産をした人に会社の経理を任せるわけにはいかない」などと言われることも考えられます。

 このような場合,解雇や自主辞職ではなく,資格を使わない部署やお金を扱わない部署への配置転換を求められることがあります。
 過去の裁判例からすると,会社における配置転換の適法性は,比較的緩やかに判断される傾向が見られます。
 したがって,配置転換の可能性については,考える必要があろうかと思います。

 さらに進んで,宅地建物取引士や経理のスキルに着目して採用されたなど,特段の能力の存在を前提に採用されたなどの事情があり,配置転換では対応できないような場合には,解雇という選択肢があり得る場合があります。

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