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研究レポート

1 共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属

著者:弁護士 宮本勇人

2009/1/29

法律・判例等の中から、私が、実務上重要と思ったものを、紹介したいと思います。

判示事項

共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後になされた遺産分割の効力(最高裁判所第一小法廷、平成17年9月8日)

裁判要旨

相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けない。

補足

 原審は、賃料は法定果実であり、遺産分割の効力が相続開始時に遡る以上、法定果実の取得権も元物である不動産を遺産分割により取得した者に帰属するという理屈を取った。
 しかし、最高裁は、賃料債権を「遺産とは別個」の財産であるという点を強調し、後に行われた遺産分割との関係を切断した。さらに、賃料債権の性格を法定相続分に応じた分割単独債権と捉えた。

実務の視点

 遺産分割の調停で、他人に賃貸している不動産が遺産分割の対象になっており、遺産分割までに長期間かかるケースは少なくない。そのような場合に上記判例は、まさに、その間に取得した賃料についての分配の基準が与えられたことになる。しかし、このことは、時として、当事者に思いもよらない紛争を起こすことにもなる。例えば、相続開始後から遺産分割協議までの間の賃料の帰属について明確な合意がなされていない場合には、遺産分割後に、遺産分割に不満を持っていた相続人が、法定相続分に応じて、賃料を管理していた者に対して、その返還を請求することも考えられる。
 これを、封じるには、相続開始後遺産分割までの賃料の帰属について当事者間で合意しておくことが必要になる。

以上は金融法務事情1776号p4関沢正彦「リーガルNAVI」を参考にさせていただきました。

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