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研究レポート

20 コロナ禍において

著者:弁護士 宮本勇人

2020/8/3
(改訂)2020/9/2
(追記)2020/10/15
(追記)2021/1/13
(追記)2021/2/12
(改訂)2021/4/13

コロナ禍において、気づいたことが何点かあります。

1、遺言や相続について相談が増えた

 ある税理士法人の調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに相続について考えることの増えた人が回答者の2割に上るらしいです。確かに、当事務所でも、4月頃から相続や遺言についての相談が増えており、昨年より多くの遺言の作成にかかわりました。やはり、コロナ禍において、高齢者の方が自分の死についてより身近に感じ、自分の将来について考えるようになったからでしょうか。
 但し、コロナ禍においては、新型コロナウイルスの感染防止の観点から、病院や老人ホームに立ち入ることが制限され、そのことが、遺言の作成に大きな支障をきたしていることは否定できません。外出できない高齢者のために、公正証書遺言を作ろうとしても、公証人及び証人が施設に立ち入ることを認めない病院や老人ホームもあります。感染防止のためといわれれば、あきらめざるを得ませんが、その時は、まず、自筆証書遺言を作成し、後日、公証人が立ち入ることができるようになった時に、公正証書遺言を作成することをお勧めしています。

2、個人の破産や企業の倒産は数字の上では増えていないが要注意!

 飲食店等に対する自粛要請がなされる中、今のところ、個人の破産・企業の倒産が増えたという話はありません。
 その原因としては、裁判所が時短勤務となったりして、事務処理が滞っていること、政府から個人や企業に対して給付金が交付されていること、企業は金融機関から実質的に無担保・無利息・保証料の負担なしという形で資金繰り支援が行われていること、税金・社会保険料の支払いを一年間猶予されたりということが考えられます。
 しかし、金融機関から借りた融資はそろそろ返済しなければならず、税金・社会保険料の支払い猶予期間も終了し、その後は今年度分と二重払いを強いられることもあります。また、個人の住宅ローンについて金融機関から返済猶予を受けた人は5万人を超え、東日本大震災の5倍にも達している一方では、新規の住宅ローンも増加しています。
 このような状況を考えると、破産や倒産の件数が増えていなくても決して安心できる状況ではないことがわかります。

3、 破産の手続が変わった

(1)東京地裁の破産の即日面接
 従来は、代理人が裁判官と直接面接して事情を説明してその後の手続等(管財事件にするか同時廃止事件にするか)を決めていましたが、コロナウイルスの感染拡大防止のために、緊急性を要する事件や対面による説明が必要な特別の事情のある事件を除いて、電話による面接となったようです。(ちなみに、電話による面接は「電話面接」と呼んでいるようです。)

(2)破産の債権者集会
 破産事件においては、債権者に対して金銭的な満足ばかりではなく、事情を説明するという情報提供の面も重視されてきたため債権者集会は必須とされてきました。
 しかし、コロナウイルスの感染拡大防止という観点から、例えば、債権者の数が多く、債権者が集まることによって密な状態になる可能性がある事件(例えばスイミングスクールの会員が債権者の大多数を占めるような場合)でかつ財団が形成できず、各債権者の債権額が少額で、特に問題のない事件については、債権者にホームページ等で情報提供することを条件に、集会を開催しないで手続きを進める運用も試みられてるようです。
 また、債権者の参加人数を少なくするために、債務者及びその代理人の出席を求めないで債権者集会を開催する運用も始まっているようです。

(3)非招集型破産管財手続
 破産管財手続における債権者集会は、破産管財人や破産者が債権者の質問に答え、破産管財人が債権者に対して破産事件についての情報を提供するという機能を有するため、原則として開催されてきました。ところが、コロナ禍においては、以下の要件のもとに、債権者集会を行わない非招集型の破産管財手続が行われるようになっています。  申立代理人及び破産管財人候補者の双方から同意があることを前提に

  1. 自然人の自己破産事案であること
  2. 個人債権者がいないこと
  3. 債権者集会を開催しても破産債権者が出頭しないことが見込まれ、かつ、第1回期日で異時廃止見込みであること

従前このような事案においては、債権者集会は開催されるが、債権者は誰も出席せず、極めて形式的なものであったため、債権者集会を開催しないとしても、債権者に対して大きな不利益はないと思われます。

4、テレワークに関する諸問題

(1)リモートハラスメント(リモハラ)
 男性職員Aが、女性職員Bと1対1でビデオ会議を行っている最中にAがBの服装や部屋の様子等のプライベートについて立ち入った発言をしてしまった場合がこれに当たります。
 例えば「Bさんの今日の服装いやに色っぽいね。化粧の仕方もいつもと違うね。職場にいるより、自宅の方が素敵だね。」「後ろにある写真は彼氏の写真?みせてよ。」などがあります。職場では、他人の目もありますが、1対1のオンラインではそのような状況にないため、ついつい仕事であることを忘れて発言が過激になり、暴走することもあるので注意しなければなりません。
 ハラスメントの類型から言えば、セクハラであり、テレワークの場合は自宅が「職場」となるため、いわゆる環境型(職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われることで職場の環境が不快となったため、労働者の能力の発揮に重大な悪影響が生じること)にあたります。
 Bとしては、ビデオ会議ではバーチャル背景を設定して、自宅の様子が背後に映らないようにし、プライベートについてAから詮索されないようにするのも一つの方法です。

5、建物賃貸借の賃料未払を理由とする解除について

 建物賃貸借において、賃借人が負っている重要な義務として賃料支払義務があります。そのため、賃料の未払が生じた場合には、賃貸人からそれを理由に解除されることがあります。ただし、建物賃貸借の場合は、単に賃料の未払が生じてもそれだけでは解除することができません、賃貸人と賃借人との間の「信頼関係」破壊されたと言えなければなりません。例えば賃料の未支払いが1か月の場合、賃料支払義務は尽くされていませんが、それだけでは、賃貸人は賃貸借契約を解除することはできません。通常は最低3か月程度の賃料の未払がなければ賃貸借契約を解除することができません。

 ただし、新型コロナウイルス感染症の影響という特殊な要因で売り上げが減少し賃料が支払えなくなった場合は、3か月程度の賃料の未払が生じても、未払の前後の状況等を踏まえ信頼関係は破壊されていないと判断され、賃貸人による解除が認められないケースも多いと考えられますので、慎重な対応が必要でしょう。

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