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研究レポート

14 副業・兼業の促進に関するガイドライン

著者:弁護士 宮本勇人

2018/5/23
(改訂)2019/7/29
(改訂)2019/10/28
(改訂)2020/12/7
(改訂)2022/4/8

平成29年3月28日に、「働き方改革実現会議」の中で、「副業・兼業の普及促進を図る」ことが決定され、平成30年1月に厚生労働省から「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が出されました。

    ガイドラインの中のモデル就業規則は、

  • 勤務時間外は原則副業・兼業が可能
  • その際には会社に届出を行う
  • 現在勤務中の会社の業務に支障がある場合、企業秘密が漏えいする場合等例外的な場合は禁止、制限できる

となっています。

 従前の就業規則は、原則禁止が多かったことから隔世の感があります。今後は、多様な働き方が広がり、また、労働人口の減少が進むことから副業・兼業も増えていくと思います。
 以下の点が現在問題となっています。

1、複数の事業所で勤務する場合の労働時間管理

 労働基準法38条1項では、事業場を異にする場合でも、労働時間に関する規定の適用については、労働時間を通算するということを規定しています。また、通達では「事業場を異にする場合」とは、事業主を異にする場合も含むとしており、異なる事業主のところで勤務する副業の場合であっても労働基準法上の労働時間に関する規制の適用があります。
 使用者は副業・兼業の確認にあたっては、労働者からの申告等によりその内容を確認することとし、あらかじめ確認のための仕組みを設けておくことがよいでしょう。そして、副業・兼業を行う労働者を使用するすべての使用者は労働時間を通算して管理しなければなりません。その通算にあっては自社の労働時間と、労働者が申告してきた他社の労働時間を通算して行うことになります。

*この点で興味ある判例が出されました。複数会社で就業していた労働者が、長時間労働を積極的に選択した場合は会社に労働契約上の注意義務ないし安全配慮義務に違反したとまでは言えないとの判断がなされました。大阪地裁令和3.10.28労働判例1257号17頁

2、複数の事業所で勤務する場合の労使協定

 ガイドラインによれば把握した労働時間に関し労働時間が通算され、その結果、法定労働時間を超えて労働させる場合には、使用者は自社で発生した法定外労働時間について36協定の締結が必要となり割増賃金を支払わなければなりません。そして、通常は、法定労働時間を超えることになるような所定労働時間を定めた労働契約を「後から」締結する使用者との間で36協定の締結が必要となります。

実際の状況

 経団連・労働時間等実態調査(令和2年9月17日発表)によりますと、副業・兼業を認めているのは16.9%、認めていないが認める方向で検討中2.9%、懸念が解消すれば認める方向で検討中が29.0%でした。しかし、半数超の51.9%は認めておらず今後も認める予定はないとのことでした。
 副業・兼業を認めない理由としては、「割増賃金及び上限規制に係る労働時間通算規制があるため、社員の労働時間管理が困難である」「兼業労働者の労災認定基準、安全配慮義務履行のルールが明確でない」など、社員に対する安全配慮義務に対する懸念が上位を占めています。慮義務に対する懸念が上位を占めています。

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