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落札者について特に規制のない不動産競売を利用して、暴力団が組事務所を合法的に取得することが問題になっています。
通常、不動産を売買する場合は、仲介業者が間に入って買主の素性も調べたうえ、反社条項(買主が反社会的勢力に当たる場合、売買契約を当然に解除できる等の条項)も盛り込まれているため、暴力団が不動産を購入することは、かなりの程度まで阻止することが可能です。
これに対して、不動産競売の場合は、債権回収を迅速に行うため、原則、入札者の資格制限がありません。そのため、暴力団が組事務所を入札によって取得することがあるようです。2009年の日本弁護士連合会の調査によると暴力団の組事務所の1割は競売で取得した物件であったとのことです。そこで、競売で暴力団が不動産を取得できないようにする制度について検討がされていますが、平成29年9月8日「民事執行法の改正に関する中間試案」では、不動産競売における暴力団員または暴力団員がその計算で買受の申出をさせた者に対する売却不許可とその判断のための執行裁判所による警察への照会制度等が提案されています。
この提案によると、執行裁判所による判断に供するため、買受申出人は買受けの申出の際に自己(法人の場合はその役員)の氏名、生年月日及び性別その他警察への照会に必要となる事項を、住民票その他の文書を提出したうえで申告する必要があります。
さらに、買受けの申出をしようとする者または法人の代表者は、買受けの申出の際に、自らが暴力団員等ではなく、法人にあってはその役員のうちに暴力団員等に該当する者がいないことなどについて宣誓の上で陳述する義務を負い、虚偽陳述に対しては保証の不返還及び罰則による制裁が科せられるとされています。但し、実際の運用については、どのような場合が暴力団員等の「計算において」といえるのかが今後問題になると思われます。
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