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Q
当社(A社)は、下請業者(B社)を使って建築工事をしていますが、下請業者(B社)が再生手続開始決定を受け、孫請業者(C社)から下請業者(B社)に対する報酬の立替払いを求められました。孫請業者(C社)に立替払いをした場合、その立替払金を下請業者(B社)に支払う下請代金から差し引くことはできますか。
1 建築請負契約における立替払約款・相殺約款
建築工事現場では、注文者から直接工事を請け負った元請事業者が、一次下請・二次下請・・・・等、下請業者を使って工事を進めることが多く、また、こうした下請業者は、末端に行くほど零細な業者が多くなる傾向にあるといえます。
このように、数次の下請けがされている状況で、途中の下請業者が倒産してしまうと、そのあおりで孫請業者が連鎖倒産に追い込まれ、工事がストップしてしまう危険があります。
そのような危険をさけるため、元請業者が下請業者と請負契約をする際には、下請業者がその孫請業者に対する労務費等の支払いをしない場合に元請業者が孫請業者にその労務費等を立替払いすることができる旨の条項(立替払約款)と、孫請業者に立替払いしたことによる金額を下請代金から控除することができる旨の条項(相殺条項)が規定されることが多いようです。
2 建設業法の立替払勧告
また、建設業法では、特定建設業者が発注者から直接請け負った工事について、下請業者がその労働者に対する賃金の支払いを遅滞した場合には、特定建設業許可をした国土交通大臣や知事が、賃金相当額の立替払を勧告できることを定めています(特定建設業法41条2項)。
3 民事再生手続きと立替払い
民事再生法は、債務者の支払停止後に債権者が取得した債権と、従来からあった債務を相殺することを原則として禁止しています(Q16-1の2(1)(2)参照)。
これは、債務者の支払停止後に債権者が取得した債権は、実質的価値が低下しているからです。
ただ、債権の取得が、契約(約款)や法律に基づく場合には、相殺禁止規定の例外(Q16-1の2(3))として、相殺が認められる場合もあります(この場合でも、相殺できるのは、必要性ないし合理性が認められる立替払いに限られます)。
また、再生手続開始決定後の立替払いによる債権取得については、上記のような例外規定が設けられていないため、たとえ契約や法律に基づく必要かつ合理的な立替払いであっても、立替払いによって取得した債権による相殺は認められません。
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