不動産取引、知的財産から離婚・遺言・相続まで。

あらゆるお悩みに、各分野に精通した弁護士が迅速に対応いたします。

研究レポート

17 民事再生手続の開始が契約関係に与える影響(1)―売買契約の双方未履行

著者:弁護士 和田はる子

2011/9/20
(改訂)2012/1/10

Q

 不動産を購入する契約を締結し、手付金を支払ったところ、決済未了の段階(残代金の支払いや不動産の引渡し・移転登記未了)で、売主が民事再生手続の開始決定を受けた。締結済みの不動産売買契約や手付金はどうなるか?

1 契約の「履行」か「解除」か

 売買契約が締結され、双方が契約上の義務の履行を完了する前に、当事者の一方に民事再生手続きの開始決定があった場合、再生債務者側は、開始決定後に、その契約の履行を請求することも、契約を解除することも、いずれも可能となります。
 この解除権は、民事再生法が再生債務者に特別に認めた権利です。
 再生債務者と契約していた相手方は、再生債務者が「履行」と「解除」のいずれを選択するか分からない不安定な立場に立たされることになりますが、相手方は、相当の期間を定めて、再生債務者にいずれを選択するのか確答すべきことを催告することができることになっています。
 もし、相当期間内に再生債務者からの確答がない場合、再生債務者は、解除権を放棄した――つまり履行を選択した――とみなされます。

2 再生債務者が履行の請求をした場合

 売主である再生債務者が、履行の請求をした場合、買主は、締結済みの契約内容に従って、残代金の支払いをしなければなりません。
 また、当然のことながら、売主である再生債務者も、契約に従って、不動産の引渡しや移転登記を完了させなければなりません。
 つまり、再生債務者が履行選択すれば、再生手続開始による影響はほとんどないといえます。

3 再生債務者が契約を解除した場合

 売主である再生債務者が、再生手続開始決定後に契約を解除した場合は、契約関係が消滅し、一部履行された契約部分(代金の一部となる手付金の支払いなど)を元の状態に戻す義務が生じます。
 そして、再生債務者のこの原状回復義務は、相手方にとって共益債権( Q7-1②参照)となります。
 一方、解除によって損害が生じた場合、その損害賠償請求権は、再生債権(Q7―1①参照)となります。

 民事再生に関する問題で不安に思うことがありましたらお気軽にお問い合わせください。

中小企業の事業再生

法律問題・トラブルは、弁護士法人リバーシティ法律事務所へ。

047-325-7378

(平日9:30~17:30受付)

法律相談予約専用ダイヤル

0120-25-7378

(24時間受付、土日対応可)

「相談したいけど…」と迷われている方、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの不安や悩みを解決するお手伝いをいたします。

TOP