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研究レポート

8 再生債権の免除(債権カット)額と弁済方法

著者:弁護士 和田はる子

2009/12/21

Q

再生債権の免除額(債権カット額)と免除後の債務の弁済方法はどのようになりますか。

1. 再生債権の免除額と弁済方法は、再生債務者自身が再生計画の中で決めますが、債権者の賛同が得られる計画にする必要があります。

 再生債権の①免除額と②免除後の債務の弁済方法は、再生債務者自身が再生計画を定め、その中で決めます。
 例えば、「再生債権の○パーセントを再生計画確定後2ヶ月以内に一括で支払う」とか、「再生債権の○パーセントを毎年○月○日限り10年間の分割で支払う」といった内容になります。

 この免除額と免除後の債務の弁済方法については、具体的に○パーセント以上でなければならないといった規定はないので、法令上・税務上の制限を勘案しつつ、再生債務者が責任を持って定めることになります。
 ただし、再生計画は、債権者の多数の賛成が得られなければ認可されませんから、予定している事業計画に照らして適正妥当な免除率と弁済方法を定める必要があります。

2. 再生計画に関する民事再生法の定め

民事再生法は、再生計画の内容について以下の定めをおいています。仮に多数決で多くの債権者の賛同を得たとしても、以下の定めに反する再生計画は裁判所に認可されません。③のような規定があることで、免除額の上限(弁済額の下限)は破産配当率によって画されることになります。
① 債権者間で平等の内容であること
② 特別の事情がない限り10年内に弁済すること
③ 破産したと仮定した場合の配当率より債権者にとって有利であること

3. 免除益課税についても検討する必要があります。

民事再生法上の制限のほかにも、必ず検討しなければならないのが、税務上の制限です。
 再生手続によって債務免除を受ければ、免除益が生じますから、欠損金の額によっては免除益に対して課税されることもあります。事案によっては、再生債権の免除額の上限がこの免除益課税対策との関係で制限されてしまうこともあります。

4. 担保権付再生債権は担保物の価額全額を弁済しなければなりません。

 民事再生手続をとっても、担保権の実行は制限されませんから、担保権の実行を阻止する必要がある場合は、担保物の価額についてはその全額を別途支払う必要があります。
 一括で弁済することが困難な場合は担保権者と協議して分割弁済にしてもらわざるを得ませんが、分割期間は通常10年内です。
 事業継続に不要な担保物は、任意売却して売却代金を支払うか、担保権を実行して回収してもらうことになります。

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