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研究レポート

12 債権届出に関する注意事項

著者:弁護士 和田はる子

2011/2/16

Q

 債権者が債権届をする際に注意すべきことは?

1 民事再生と債権届

 民事再生手続は、再生債務者と多数の債権者の権利関係を一括確定させ、整理する手続です。
 各債権者の再生債権の額も、再生手続の中で債権届・債権調査を経て確定し、確定した債権額をもとに、再生債務者が再生計画を作成します。各債権者は、再生計画が認可された後、認可された再生計画に従った弁済を受けることになります。
 債権届は、再生計画による弁済を受けるために債権者が最初に行わなければならない手続なのです。

2 債権届出を提出する際に注意すること

(1)届出期間内に裁判所に受理されるよう提出する

 民事再生手続では、前にした(すべきだった)手続を後からやり直すことが原則としてできません。
      債権届出期間も厳密に決められており、期限を過ぎると権利行使ができなくなります。期限内に債権届出書が裁判所に到着するよう注意してください。
 届出先は、再生債務者ではなく、裁判所です。
 提出方法は、郵送・直接持参のいずれでもかまいませんが、期限内に「受理」される必要がありますから、郵送の場合は余裕をもって発送してください。

(2)相殺できる債権があれば届出期限内に相殺する

 再生債権と相殺できる債権がある場合は、債権届出期間内に相殺の意思表示をしなければなりません。
 債権届をする際には、再生債務者に対する債務の有無も一緒に確認してください。  相殺できる債権を相殺し損ねると、債権者の債権が再生計画で大幅にカットされる一方で、再生債務者に対しては債務を満額支払わねばならないという不合理な事態が生じます。
 ただし、再生手続が開始されると相殺できなくなる債権・債務があります。相殺の可否がよく分からない場合は、弁護士に相談してください。

(3)その他

・同じ届出書を2通作成して提出する
  債権届出をする際には、届出書を2部作成することになっています。
  コピーを利用すると簡単にできますが、押印はそれぞれにします。
・法人は資格証明を添付する
  債権者が法人の場合は、資格証明の添付を求められることがあります。
  ただし、これは後から追加提出することができます。

3 債権届出書の書き方

(1)債権の額と種類、別口債権の有無を調べて正確に記載する

 債権の額と種類は、帳簿等客観的な資料を調べて正確に記載してください。
 債権者に複数の部署があって、各部署がそれぞれに再生債務者と取引をしているような場合には、債権の一部を届け出忘れるミスが起こりやすいので、よく社内調査をする必要があります。
 届出書に記載する債権額は、「再生債権」(Q7参照)の債権額です。申立日以後に発生した債権は「共益債権」となることが多いので、通常は、申立日の前日までに発生した(納品等を終えた)分の債権額を記載することになります。
 再生債権と共益債権の区分がよく分からないときは、再生債務者に問い合わせて、どの範囲の取引を届け出ればよいか確認してください。

(2)債権の内容及び原因を具体的に書く

 債権の内容及び原因欄には、「平成○年○月○日、B商品売買」など、債権発生原因を具体的に記載します。
 複数の取引があって書ききれない場合は明細を添付して内訳を明らかにします。  開始決定日の前日までの利息・損害金は、既発生の金額を計算して記載しますが、開始決定日以後の利息・損害金は、「額未定」と記載すれば足ります(「額未定」欄にチェックすればよいだけの書式もあります)。なお、開始決定日以後の利息・損害金は、再生計画で全額カットされることが多いので、記載を忘れても弁済を受けられる額には影響しません(議決権もないので再生手続上のデメリットはほとんどありません)。

(3)担保の有無、債務名義の有無を確認する

担保がある場合は、担保の種類・目的物と、担保権の実行で不足する見込額を必ず記載します。
 不足見込額が後に再生計画を決議する際の議決権額となります。  また、執行力ある債務名義(判決・訴訟上の和解調書等)がある場合は、その旨記載し、写しを添付します。

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