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研究レポート

7 民事再生手続きによって影響を受ける債権

著者:弁護士 和田はる子

2009/10/21

Q

 民事再生手続きの申立てをすると、その後、金融機関・取引先・従業員等に対する弁済はどのように変わりますか。

1. 民事再生手続上、債権は、主として①再生債権、②共益債権、③一般優先債権の3つに分けられます。

①再生債権とは、再生手続「開始前」の原因に基づいて発生した債権で、②共益債権③一般優先債権以外の債権を言います。融債権・取引債権等、手続申立前に発生していたほとんどの私債権が再生債権となります。再生債権は、再生計画が認可されるまで弁済が禁止され、認可された後は再生計画に定められたとおりに弁済することになります。

②共益債権とは、再生手続の「開始後」に事業を継続するため負担した債務などで、これは再生手続中も、再生計画認可後も、約定どおり全額を弁済しなければなりません。手続申立後開始までに発生した債権も共益債権として扱うことが多く、実際には、「申立後」の取引等で発生した債権は、全て共益債権として債権全額を約定どおり弁済することになります。

③一般優先債権とは、先取特権その他の一般の優先権がある債権であり、未払いの労働債権や公租公課などが代表的なものです。一般優先債権は、申立前に発生していたものでも再生手続の影響を受けないことになっており、その全額を約定どおり弁済しなければなりません。

2. 以上を前提に金融機関・取引先・従業員等に対する弁済を具体的に考えてみます。

(1)金融機関からの借入金(申立前に借りたもの)は、①再生債権ですから、申立後は弁済が一時棚上げされ、
再生計画が認可された後に計画に従って弁済することになります。
 ただし、借入金に担保がついている場合、民事再生手続きの申立てをしても担保権の実行を止めることはできないため、担保物の価額に相当する額(担保価額)を再生計画とは別に払わねばなりません。
 担保物が在庫・原材料・売掛金等で早急に利用する必要があるときは、再生計画認可前でも、随時担保価額を弁済していくことになります。

(2)取引先の買掛金のうち申立前の取引によって生じた分は①再生債権となり、再生計画が認可されるまで弁済が禁止され、再生計画認可後に再生計画に従って弁済することになります。申立日以後の取引によって生じた分は②共益債権となるので、通常どおり全額を支払うことになります。
 取引先には、「既発生の債権は債権カットすることになり迷惑をかけるが、申立後の分は全額支払うので取引を継続して欲しい」とお願いすることになります。

(3)従業員に対する給与等は、手続開始日までに発生していた給与の未払分があった場合は③一般優先債権に、手続開始の翌日以後の分は②共益債権になり、いずれも通常どおり全額を弁済することになります。退職金債務等の未払分が一括で支払えない場合は、分割払いで了承してもらうよう個別に交渉しなければなりません。
 公租公課も開始時の未払分は③一般優先債権、開始後に発生した分は②共益債権となり、滞納していると差押えをされることがありますので、未払い分がある場合は、滞納官署と分割払いの約束をするなどして差押えをされないようにすることが必要です。

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