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研究レポート

9 ロボットと商標

著者:弁護士・弁理士 南部朋子

2005/9/2

商標についての一般的な説明

 標は商品や役務(サービス)の出所を示すための文字、図形、記号などのことをいいます。商標が登録されていると、「登録商標」となり、商標権者は、指定商品・指定役務について登録商標を独占的に使えることになります。
指定商品(役務)というのは、どんな商品(役務)について商標を使うのかを明らかにするものです。商標法第25条では「商標権者は、指定商品または指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する」と規定されているので、指定商品または指定役務の内容によって、商標権者の権利の範囲がきまってきます。
 たとえば、Aさんという人が、NAMBUという商標を、指定商品を「鉛筆」として商標登録したとしましょう。BさんがNAMBUという商標を使って鉛筆を販売したら、Aさんは、商標法に基づいて、Bさんに「NAMBUという商標を使って鉛筆を販売するな」といえます。しかし、Bさんがお煎餅を売っていた場合、基本的にAさんはBさんに「NAMBUという商標を使ってお煎餅を販売するな」とはいえません。
もっとも、BさんがNAMBUという商標を使ってサインペンを販売したら、AさんはBさんの行為を差止めることができるでしょう。なぜなら、Aさんの商標の指定商品は鉛筆ですが、この指定商品と類似する商品に「NAMBU」を使用した場合も、Aさんの商標権を侵害したことになるからです(商標法第37条1項)。
このように、登録商標の指定商品(役務)というのは重要であり、商標登録出願の場合は、出願実務に詳しい弁護士・弁理士とよく相談する必要があります。

ロボットの商標について

ところで、現在開発されているロボットはデザインも魅力的ながら、ネーミングも魅力的なものが多いですが、ロボットの名前も商標として登録されている例があります。 たとえば、ソニー株式会社のAIBO、本田技研工業株式会社のASIMO、アイロボット コーポレイションのルンバ(掃除用ロボットです)、三菱重工業株式会社のwakamaruは、それぞれ商標登録があります。 これらの登録商標の指定商品(役務)はどのように記載されているのか、その一部を紹介します。

商標権者/商標登録番号 登録商標 商品の区分/指定商品
ソニー株式会社
第4358768号
AIBO 第9類 電気通信機械器具、電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・同ICカード・同磁気テープ・同磁気ディスク・同光ディスク・同光磁気ディスク・その他の電子応用機械器具及びその部品、電池、写真機械器具、映画機械器具、光学器械器具、録音済み磁気テープ・同ICカード・同磁気ディスク・同光ディスク・同光磁気ディスク・その他のレコード、録音済み磁気テープ・同ICカード・同磁気ディスク・同光ディスク・同光磁気ディスク・その他の録画済みビデオディスク及びビデオテープ、家庭用テレビゲームおもちゃ
第28類 おもちゃ、人形
本田技研工業株式会社
第4476869号
3-asimo.gif 第28類 遊戯用器具、囲碁用具、将棋用具、さいころ、すごろく、ダイスカップ、ダイヤモンドゲーム、チェス用具、チェッカー用具、手品用具、ドミノ用具、マージャン用具、ビリヤード用具、おもちゃ、人形、愛玩動物用おもちゃ、運動用具、スキーワックス、釣り具
アイロボット 
コーポレイション
第4781882号
ルンバ 第7類 家庭用掃除ロボット、その他の家庭用電気掃除機、業務用電気掃除機
三菱重工業株式会社
第4774162号
wakamaru 第9類 電気通信機械器具・電子計算機を装備し、留守番、見張り・異常時の通報、健康管理を主機能とする2手、車輪走行式人型ロボット(産業用・医療用・遊戯用のものを除く。)


※上記表の内容は、各登録商標についての特許電子図書館のホームページ http://www.ipdl.ncipi.go.jp/homepg.ipdl の商標検索結果ページより引用したものです。各商標権者の、上記商標についての商標登録のすべてを紹介したものではありませんので、ご注意下さい。

いずれの商標も、特許電子図書館のホームページ http://www.ipdl.ncipi.go.jp/homepg.ipdlで検索できます。「初心者向け検索」を利用すると簡単に検索ができます。
上の表で、「AIBO」、「ルンバ」及び「wakamaru」は、標準文字による出願です。「ASIMO」は商標見本による出願ですので、商標見本の画像を、縦横比率を維持しながら縮小して表示してあります。
指定商品の欄をみると、商品のバラエティーに富んでいます。「AIBO」と「ASIMO」については、指定商品に「おもちゃ、人形」が入っていますね。ロボットのデザインがかわいらしいので、おもちゃでも売れる!ということなのでしょう。
商標登録出願のときは、指定商品(役務)のほかに、その商品(役務)が含まれている「区分」を明らかにする必要があります(商標法第6条2項)。区分は商標法施行令の別表で定められています。例えば、「第1類:工業用、科学用又は農業用の化学品」「第2類:塗料、着色料及び腐食の防止用の調製品」「第3類:洗浄剤及び化粧品」といった具合です。指定商品(役務)をいくつかのカテゴリーに分類しているわけです。
上の表で「商品の区分/指定商品」欄にある数字は、商品の区分を表しています。
第9類と第28類での登録が多いですが、第9類は「化学用、航海用、測量用、写真用、音響用、映像用、計量用、信号用、検査用、救命用、教育用、計算用又は情報処理用の機械器具、光学式の機械器具及び電気の伝導用、電気回路の開閉用、変圧用、蓄電用、電圧調整用又は電気制御用の機械器具」です。第28類は「がん具、遊戯用具及び運動用具」です。そして、第7類は「加工機械、原動機(陸上の乗物用のものを除く。)その他の機械」となっています。
ちなみに、AIBOは別の商標登録番号(4553531号等)で他にもいろいろな指定商品(役務)にて商標登録がされています。たとえば、指定商品には「食肉」「マッチ」などが、指定役務には「預金の受け入れ」などが含まれています。
上記でご紹介したAIBO以外の商標についても複数の商標登録がありますので、調べてみると面白いかもしれません。

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