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研究レポート

7 ロボットの輸出行為の差止め

2011/4/22

Q

当社は掃除用ロボットを開発し、米国での掃除ロボットの需要を考慮して米国の住宅、オフィス向けの仕様とし、4年前に米国に輸出を始めました。好調な売上げを達成しており、現在では米国では広く知られる製品に成長しました。なお、当社の掃除ロボットは日本国内では販売しておりません。

 ところが、最近になって、当社の掃除ロボットとほぼ同じ商品名、形態、パッケージの掃除ロボットが日本のA社から米国に輸出され、消費者が当社の製品と思って購入したところA社の製品であったという事例が多数報告されています。A社の掃除ロボットの輸出を止めることはできないでしょうか。。

A社の輸出行為は、不正競争防止法2条1項1号(周知表示混同惹起行為)、あるいは同条1項3号(形態模倣)に該当することが考えられます。

この場合、同法3条1項に基づいて輸出を差止めることができます。
 まず、不正競争防止法2条1項1号は「他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回路を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」を不正競争としています。

 貴社の掃除ロボットは、米国内では広く知られる製品に成長したとのことですが、日本国内では販売されていませんので、この条文の「需要者の間に広く認識されている」に該当するのかが問題となります。結論としてはこの「需要者」というのは日本国内の需要者に限定されていないため、日本の需要者に認識されていなくとも米国の「需要者の間に広く認識されている」という状態であればよいのです。

 また不正競争防止法2条1項3号は「他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸し渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為」(平成17年改正後条文です)を「不正競争」としています。
 貴社の掃除ロボットとA社の掃除ロボットの形態がほぼ同一であるということですが、掃除ロボットの機能を確保するために不可欠な形態、つまりどこの会社が掃除ロボットを作ってもどうしても似てしまう、という場合を除いては、原則として「不正競争」に該当することになるでしょう。  形態模倣の場合には、日本国内で販売されてから3年を経過すると差止請求権を行使することはできません(平成17年改正後の不正競争防止法19条1項5号イ)。
 今回の場合には、4年前に輸出を開始していますが日本国内では販売されていませんので、不正競争防止法2条1項1号あるいは同項3号、いずれの場合にも、同法3条に基づいてB社の輸出行為を差止めることができます。

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