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研究レポート

43 人工知能技術を巡って、どのような法的論点が指摘されているのかを知りたいのですが、この点につき公表資料はあるでしょうか?

著者:弁護士(日本・米国ニューヨーク州)・弁理士 南部朋子

2017/8/4

Q

人工知能技術を巡って、どのような法的論点が指摘されているのかを知りたいのですが、この点につき公表資料はあるでしょうか?

 例えば、内閣府特命担当大臣(科学技術政策)の下で開催された「人工知能と人間社会に関する懇談会」(第1回:平成28年5月30日)により平成29年3月24日付で公表された報告書があります。

 同報告書では、以下のような点を指摘しています。

  • 技術進展のレベル(たとえば、自動運転のレベル0~4のそれぞれなど)に対応した責任分配を明確にし、それ以外の不確実で確率的に生じるようなリスクに対しては保険を整備して対応することが、人工知能技術が社会に受容され、その便益が享受されるために有効
  • 人工知能技術の利便性と個人情報保護(プライバシー)を両立し、萎縮効果を生まないための制度(法律、契約、ガイドライン)の検討が必要
  • 人工知能技術による創作物や人工知能技術と人が協働した創作物、学習モデルなどの権利は誰のものかなどのいわゆるデータオーナーシップの検討が必要
  • 責任とは何かという問題などに関する現行法上の基本的概念についての検討や基礎研究が望まれる

 また、上記のうち、人工知能技術による創作物等に対する権利については、知的財産戦略本部の検証・評価・企画委員会の「新たな情報財検討委員会」がとりまとめた報告書(平成29年3月公表)において、より詳しく触れられています(本報告書では、機械学習、深層学習を用いた人工知能(AI)の「学習用データ」、「AIのプログラム」、「学習済みモデル」も検討対象としています)。
 「新たな情報財検討委員会」の関連資料は、知的財産戦略本部の検証・評価・企画委員会のウェブサイトにて入手可能です。  

 総務省情報通信政策研究所が開催した「AIネットワーク化検討会議」(第1回:平成28年2月2日)は、AIネットワーク化検討会議報告書2016「AIネットワーク化の影響とリスク -智連社会(WINS(ウインズ))の実現に向けた課題-」を平成28年6月20日に公表しました。
 この報告書においては、AIネットワーク化、すなわち、AIネットワークシステム(人工知能(AI)を構成要素とする情報通信ネットワークシステム)の構築及びAI相互間の連携等AIネットワークシステムの高度化に対応した社会の基本ルールの在り方について検討しています。

 今後の課題として、法的・倫理的観点から検討すべき事項として、次のように掲げています。

  • インターネットに関するルールとモノの世界に関するルールの調和の在り方
  • AIネットワークシステムに関する権利義務及び責任の帰属の在り方
      ➢ AIネットワークシステムを利活用した取引における権利義務の帰属の在り方
      ➢ AIネットワークシステムに関する事故時の責任の帰属の在り方
  • AIネットワークシステムをめぐる通信の秘密に関する法制度及びその解釈の在り方
  • AIネットワークシステムに関する司法手続に関する法制度の在り方
      ➢ AIネットワークシステムに関する犯罪捜査及び刑事訴訟の在り方
      ➢ AIネットワークシステムに関する民事訴訟及び裁判外紛争解決手続(ADR)の在り方
  •  

 なお、総務省情報通信政策研究所が開催した「AIネットワーク社会推進会議」(第1回:平成28年10月31日)が、平成29年7月28日付で公表した報告書には、AIネットワーク化をめぐる法的課題の議論について、国内外の動向がまとめてあるほか、「国際的な議論のためのAI開発ガイドライン案」も別紙として添付されており、人工知能技術の法的論点を知る上で参考になると思われます。

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