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Q
以前、弊社の従業員が集金してきたお金を横領したことがあり、今後採用する従業員については、その者が弊社に損害を与えた場合に備えて、その損害賠償についてその者の親や親せきなどに保証してもらおうと思っていますが、この場合、どのような点に注意すればいいですか。
雇っている者(被用者)の行為によって、使用者の受けた損害を賠償するとの内容の契約(以下、「身元保証契約」といいます。)は、期間を定めなかったときは契約成立の日から3年間効力を有するとされています(身元保証ニ関スル法律1条本文)。なお、商工業見習者についての場合、5年以上の有効期間を定めた場合には、有効期間は5年となります(同法1条ただし書、同法2条1項)。有効期間は更新することができますが、有効期間は更新のときから5年を超えることができません(同法2条2項)。
保証契約については、「書面でしなければ、その効力を生じない。」(民法446条2項)とされていますので、身元保証契約を結ぶ場合には、必ず書面を作成することが必要です。
損害賠償については、被用者と使用者のそれぞれの過失割合などによって、被用者が負うべき損害賠償金額が決まりますが、裁判になった場合、被用者が負うべき損害の全額を保証人に請求できるとは限りません。保証契約を結んだ人が、保証契約を結ぶに至った経緯や、被用者の任務の内容などのさまざまな事情を考慮した上で、裁判所が金額を決めることになります(身元保証ニ関スル法律第5条)。
使用者は、被用者の行為によって、保証人が責任を負わなければならない恐れが出てきた場合や、被用者の仕事内容の変化により保証人の責任が重くなったり、保証人が被用者を監督するのが難しくなったりするようなことがあった場合には、その旨を保証人に通知しなければなりません(同法4条)。
なお、身元保証ニ関スル法律よりも保証人にとって不利な内容を定める特約はすべて無効となります(同法6条)。
通常、身元保証契約は被用者を雇い入れる段階で締結するものですが、被用者が使用者に損害を加えた後に、その損害について連帯保証契約を結んだ場合でも、「身元保証ニ関スル法律」5条の趣旨から保証人の支払うべき金額が制限されたという裁判例があります(平成18年11月9日福岡高等裁判所判決 判例時報1981号32頁)ので、注意してください。
民法改正に関する論点については、
「債権回収講座 17 補論(改正民法施行後の個人根保証について)」をご参照ください。
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