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Q
一定時間分の時間外労働や深夜労働の割増賃金を、基本給の中に含めて支払う形にしようと考えています。 どのような点に注意すればよいですか。
基本給の中に、時間外労働や深夜労働の割増賃金のうち、一定時間分を含むと定めること自体は問題ありませんが、通常の労働時間の賃金にあたる部分と、時間外労働や深夜労働の割増賃金にあたる部分とが判別できるようになっていない場合には、全額が割増賃金を計算する際の基礎賃金に入れられてしまうとともに、労働基準法所定の割増賃金の支払いがなされていないものとして、支払っている給与とは別に、割増賃金の支払いが必要になる可能性があります。
このため、基本給に一定時間分の割増賃金を含むとする場合には、通常の労働時間の賃金にあたる部分と割増賃金にあたる部分とが区別できるようにして、労働基準法所定の割増賃金がきちんと支払われていることがわかるようにする必要があります。
また、残業が少ない月でも、雇用契約に割増賃金にあたる部分として一定額の支払いをすると定めたのであれば、その額は全額支払わなければなりませんし、残業が多く、時間外労働に対する割増賃金を計算した場合に、給与に含まれているとした金額では足りないという場合には、割増賃金の不足分を支払わなければなりません。
基本給を41万円とし、月間総労働時間が180時間を超える場合に1時間当たり2560円を基本給に加えて払い、月間総労働時間が140時間に満たない場合には、1時間当たり2920円を基本給から控除するとの約定がある場合に、通常の労働時間の賃金にあたる部分と時間外の割増賃金にあたる部分とを区別できないとして、基本給とは別に割増賃金を支払わなければならないと判断された事例があります(最高裁平成21年(受)第1186号同24年3月8日第一小法廷判決 判例時報2160号135頁)。
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