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研究レポート

38 自己破産と慰謝料

著者:弁護士法人リバーシティ法律事務所

2011/12/7

Q

 夫の不倫が原因で離婚しました。
 離婚の際、慰謝料300万円を毎月10万円ずつ30回の分割払いとする合意書を取り交わし、10回ほど支払ってもらいましたが、夫の代理人弁護士から自己破産をするとの連絡がありました。
 夫が自己破産した場合、残りの慰謝料は支払ってもらえないのでしょうか。

不貞の慰謝料は、不貞という不法行為に基づき与えた精神的な損害に対する損害賠償と考えられています。

破産(免責)手続においては、
・破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権については、非免責債権とされています(破産法253条1項2号)。

 ここでいう「悪意」とは、単なる故意ではなく、他人を害する積極的な意欲(害意)を指すと言われています。
 したがって、夫の不貞行為が積極的に妻を害する意欲を持ったものであったと認められない限り、不貞の慰謝料も免責され、支払いを求めることが難しくなってしまうのではないかと考えられます。

 なお、妻が夫の不貞相手の女性に対し、慰謝料を求めたケースで、不貞が継続した期間が約5年、離婚を確認せず夫との結婚式を挙げたという事情があったとしても「悪意」があったといえないと判断した下級審裁判例があります。

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